雨に誓って

 第四行。さてなが魂もいやにがき、深淵ぞ
 さうに違ひない、海を見てると溜息が出る。然し茲でもボオドレエルは、意識的だ。
 扨、魂はにがい深淵だぞといふやうなことを我々日本人が云ふと、一寸そぐはない感じがしよう。なんだかこれは、ロマンチシズム開花する国で云ふにふさはしいことのやうだ。さういふと、外国人はたゞもう楽天的で、我々は唯もう渋い一天張りの国民のやうな気もするが、そんなことは、一朝にして決められることではない。

 第五、第六、第七、第八行。なれは喜ぶなが影の、すがたの海に跳び入りて、眼に腕にかい抱き、それな固有のざはめきに、なれがこゝろはなごむなり、抑へがたなきはた荒き、浪の歎きのかの響き
 もはや眺めてはゐられなくなつた、跳び込んで、眼に腕にかい抱き、それな固有のざわめきに、なれがこころはなごむのだ。抑へがたなきはた荒き、浪の歎きのかの響き。浪のうねりと白歯が見える。

俺にはおもちやが要るんだ
おもちやで遊ばなくちやならないんだ
利得と幸福とは大体は混る
だが究極では混りはしない
俺は混らないとこばつかり感じてゐなけあならなくなつてるんだ
月給が増えるからといつておもちやが投げ出したくはないんだ
俺にはおもちやがよく分つてるんだ
おもちやのつまらないとこも
おもちやがつまらなくもそれを弄べることはつまらなくはないことも
俺にはおもちやが投げ出せないんだ
こつそり弄べもしないんだ
つまり余技ではないんだ

 中には、それはおまへの今ゐるのが何の変哲もない峠道のことで、闇夜のことだし草一本満足には見えぬ有様だからだらうなぞ思ふ人もあるかも知れぬ。成程草一本満足には見えぬ。然し材料の少いことが表現の困難だとは限らぬし、私の今感じてゐる好い気持は、どうしても好い気持であるには相違ないのだ。
 それが仮りに私の気温のせゐだとしても、何のせゐだとしても、この好い気持はこの好い気持であつて、これを努力して造型してお目に懸けることくらゐは出来るとしても極めて可及的可能なことでしかない。――されば私は筆を投ずる! 私はかの記述といふものの愚劣を思ふ。人類は、あんまり孤独の内包性を無視して来たのだと思ふ。

<LINK>
『オイリー肌におすすめの化粧下地』 公式